NHK Eテレ ネコメンタリー猫も杓子も『岸政彦とおはぎ』は珠玉でした

こんにちは。

NHK Eテレのネコメンタリー 猫も杓子も『岸政彦とおはぎ』(放送日2月18日23:00~23:25・名古屋)を録画していたのを観ました。

「物書きはなにゆえに猫を愛するか?」をテーマに猫と作家の日々を描くドキュメンタリーのシリーズ。確かに、作家さんは愛猫家が多いイメージあります。

今回の主役は社会学者であり小説家でもある岸政彦さんと猫のおはぎちゃん。おはぎちゃんはとっても美猫です。

【出演】岸政彦とおはぎ 【朗読】向井理 【語り】小郷知子

「猫を拾うことは人生を拾うということだ。」

「猫は人生そのもの。」

という文学的なワードが出てくるんですけど、その言葉の真の意味するところは、岸さんと猫との18年間をたどることによって伝わってきました。

岸政彦さんとおはぎの出会いは18年前、彼がまだ大学院生だった頃、連れ合いが段ボールに入れられて捨てられていた子猫3匹を拾ってきたことから始まります。

そして4人の生活が始まりました。岸さんが2人と2匹のことを「4人」とよぶのがとても印象的でした。いろんなことを超えて「家族」なんだなと思いました。

3匹のうち1匹の黒猫は衰弱して残念にも死んでしまったけれど、2匹のキジトラの雌は生き残りました。長毛で人懐こいのがおはぎ、美しくも警戒心が強いきなこと名付けられ、家族となりました。

その17年後、ある日きなこが突然亡くなります。なんの前触れもなく突然に。

岸さんが「自分の人生でいちばん泣いた。声を出して泣いた。」というきなこの死。岸さんは4人の生活は人生で一番幸せだったと振り返ります。

きなこを失ったとき、岸さんは「夢から覚めたみたいだ」と感じたそうです。「あの幸せは夢だったのかもしれない。」 4人で幸せだったのは夢であって、「そもそも自分は1人だったじゃないか。」と気づかされます。それほど4人での暮らしは得難い幸せだったのだと。

そして残された3人の生活をカメラが淡々と追います。

「確実に自分より先に死んでいくから。」

「だからこそ彼女らは美しく愛おしい。」

生き物を飼い、看取った人ならば理屈ではなく感覚で理解できる言葉の数々が沁みてきます。うちにも老犬、老猫がいるので伝わってくるものがあります。

だいたい、いちばん最後に家族の一員になったくせに、人間の何倍もの早さで成長し、歳を取り、老いて、そして家族でいちばん早く死んでしまう。

老いるということを、死ぬということを、自分の身体でもって教えて、そして先に去っていく生き物。だからこそ愛おしいんですよね。

美しい映像と音楽、相変わらずおしゃべりなおはぎ、どこかひなびた大阪の風景、柔らかい大阪の言葉と語り口、ウッドベースの音。

それぞれの要素が邪魔することなく、むしろうまく調和し、組み合わさって美しい時間を創り上げていました。短編小説を読んでいるような感覚も味わいました。

「猫を拾うことは人生を拾うこと。」

私も「猫を拾った」ひとりですが、じわーときました。

私は人生を拾ったのかな。

見逃された方も今週末に再放送がありますので、ぜひ。というかネタバレすみません。

【再放送情報】  2月24日(日)18:30~18:55

明日は「猫の日」ですね。それではー。